随筆

東忠の坂をのぼって(その二)

小千谷 桜
 四十年ぶりに故郷小千谷に帰ってきたこの春。小千谷の春の風景を見て、驚いたことがあります。それは「小千谷はこんなにも桜がきれいな町だったのか…」ということ。大きくて枝振りの良い木があちらこちらにあって、それはもう本当に見事でした。
 ところで先日、東忠の玄関を桜の花で飾ろうと、五智院さまにお願いして桜の枝を分けていただいた時のこと。五智院さまの広場で、お花見を楽しんでいらっしゃる方々を見かけました。そして、あまりにも楽しそうだったので声をかけたら、ご近所の(旧下タ町の)方々の集まりとのこと。私くしは勤務時間中であったにも関わらず、しっかりとご相伴にあずかってしまいました(ゴメンナサイ!)。
 それにしても、こんなふうにお花見を楽しむことができるなんて、本当に素晴らしいことだと思います。今日日、都会では隣りに住む人の顔も知らないなんてこともありますが、ここ小千谷では、美しい春の風景に包まれながら、ともに桜を愛でることができるのですから…。

*この随筆は、小千谷新聞の2024年6月15日号に掲載されたものです。