随筆

東忠の坂をのぼって(その七)

芸に遊ぶ
 東忠の玄関に大きな木の板が掛けてあり、読み方の分からない漢字が書いてあります…。
 そこで、京都にある立命館大学の先生にお訊ねしたところ、書いてある漢字は「藝於游」の三文字で「芸に遊ぶ」と読み、論語の一節であると教えてくださいました。
 続いて、論語について調べてみたら、「子曰く、道に志し德に據り、仁に依り、藝に游ぶ」という一節があり、その意味は「人として正しい道を志し、徳をより所とし、人間愛を大切にしつつ、豊かな教養の世界を楽しむ」であることが分かりました。ここでいう藝(芸)とは教養のこと、また、游ぶ(遊ぶ)とは心豊かに楽しむことなのですね。
 なお、東忠のある界隈(旧下タ町や旧川岸町)には、その昔、たくさんの芸者さんがいらっしゃったそうですが、「芸に遊ぶ」という文字を見て「芸者さんと一緒に、楽しく遊んじゃう…」なんてことを想像してしまった僕…(照)。やはり東忠はもっと高尚であり、文化的な場所だったのですね。これからも小千谷における歴史と文化の発信地として頑張りたいと思います。

*この随筆は、小千谷新聞の2024年11月2日号に掲載されたものです。